何も考えず、頭の中が完全に空っぽになっている状態。
今の自分にとって、それは最高に心地いい。
何ひとつ成し遂げていないし、目に見える結果も残せていない。
それなのに、「まあ、それでも別にいいか」と思えている自分がいる。
この感覚は、果たして人間として理想的な状態なのだろうか。
そんなことを考えてみても、すぐにどうでもよくなってしまう。
恐ろしいほどに不安がない。何かを良いとも悪いとも思わない。感情の波が一切立たない、平坦な世界にいる。
日常の嫌な出来事さえ、どこか他人事のように感じられる。
まるで、自分だけが世界から一歩引いた場所にいるかのようだ。
何も感じず、何も求めず、ただ無でいる。
それは一見、あらゆる悩みや不安から解放された、究極の境地のようにも思える。
けれど、そんな自分の奥底から、小さな声が聞こえてくる。
「早く、このやる気よ、戻ってきて」
そうか。自分は、本当にすべてをどうでもいいと思っているわけではないのだ。
どうでもいいのではなく、どうでもいいと思いたいだけなのかもしれない。
何も期待しなければ、失敗しても傷つかない。何も求めなければ、手に入らなくても苦しまない。何も感じなければ、嫌なことがあっても心を乱されずに済む。
無でいることは、楽なのだ。
けれど、本当はこのままでいたいわけではない。
また何かに興味を持ち、夢中になり、自分から動き出せるようになりたい。
今はただ、その気力が戻ってくるのを待っている。
無は心地いい。
けれど、その心地よさの奥には、もう一度何かを始めたいと願う自分が、確かに存在している。

