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「コンビニ人間」読書感想文。消化不良から始まった「普通」への問い

コンビニ人間、読みました。

正直、読了直後の第一声は「なにこの消化不良感」でした。

しかし、後々になって色々な考察記事などを読み漁った結果、内容の深さをようやく70%ほど理解。

一度立ち止まってじっくり考えることで、新たな気づきに出会える。そんな本だった気がします。

では、感想ターン行きます。
※めちゃくちゃネタバレしますので、未読の方はご注意ください!

あらすじと、最初の「消化不良」

主人公は古倉恵子。

36歳未婚、彼氏なしでコンビニエンスストアのアルバイト歴18年目の女性です。
彼女は世の中の「普通」という感覚が理解できないまま、周りの環境や人々の情報を吸収して「普通のコンビニ店員」を擬態しています。

そんな中、新人のスタッフとして「白羽」という男性が入ってきたことで、彼女は改めて「世の中の普通」と向き合うことになっていきます。

この物語は、主人公の生き方を通じて「普通とは何か」を問う作品です。

作中、37歳になった主人公が18年間続けたコンビニを一度辞めてしまうシーンがあります。
結果的に、最後は「私にはコンビニ店員でしかない!」と決意して物語が終わるのですが…。

私としては、正直「その後の主人公を映してから終えてほしかったな」というのが最初の感想でした。

「年齢的にまたコンビニで雇ってもらえるのか?」
「今度はもう少し近場のコンビニにするのかな?」
「前のコンビニ仲間に会ったら気まずくないかな?」

などと現実的なモヤモヤを考えてしまい、大変な消化不良感だったのです。

しかし少し時間が経つと、「あ、そもそも主人公にはそういう世間体の感情がないんだったわ」と思い直して、なんだか笑えてきました。

主人公は「気持ち悪い」のか?

この本のタイトルで検索すると、主人公に対して「気持ち悪い」というキーワードがヒットします。

世間一般的には彼女が気味が悪く映るのかと感じ、ちょっとショックでした。

私としては、主人公に対して「気持ち悪い」といった感情は抱きませんでした。
ただ、「主体性のなさ(自分自身のなさ)」には不思議さを感じました。

なぜこの人は、他人に言われたことへこんなにも従い続けられるのだろう、と。

一方で、主人公に同情してしまう箇所もありました。
人の求めるレールに乗ろうと、本人はまったく必要性を感じていないのに努力する姿に、根本的な考え方は違えど、自分自身の経験を重ねてしまう部分があったからです。

白羽という「ヤベー奴」と「外野」の存在

この話には、白羽とかいうヤベー奴が出てきます。

彼も主人公と同じように世間から「おかしい」と言われていながらも、まだ「人間」である。そういう側面で描かれています。

彼がいることで、主人公の「話がまったく通じないおかしさ」と、白羽の「話が通じる(理解はできる)おかしさ」が対比されているのが面白いところです。

ただ、白羽に関しては「あいつだけはもっと制裁されるオチにならないのかな」と心底思いました。
ガチで人間的な気持ち悪さが満載の人物です。

でも、そこでハッと気づくことがありました。

主人公の感情は最後まで理解できない部分が多く、ただ「同情」に近いもので終わるのに、白羽には圧倒的な「憎悪」が浮かぶ。それはつまり、白羽のクズさは「こちらの理解が及ぶ行動の範囲内の人間である証拠」なのだと感じたのです。

そして、この本を読みながら一番嫌だった特大の「憎悪」の対象がもう一つあります。

それは、彼らを取り巻く「外野の人間(普通の人々)」です。

主人公の根底の行動原理は理解できない。
白羽は理解はできるがクズすぎて共感はできない。

しかし、周囲の「普通の人々」が放つ言葉や反応には、痛いほど理解も共感もできてしまうのです。

それだけ、私自身が一般的な人の感性を持っている証拠でもあるので良いのですが、この本の中では完璧に「非常識」側の人間として描かれています。

なぜなら、この本は徹底して「主人公側から見た世界」だからです。

人間の感性として、まともであればまともであるほど、主人公にとっては不都合で、暴力的な非常識の存在になっている。

その事実を痛烈に感じました。

おわりに

ここまで理解を深めて、ようやくこの本が本当に伝えたかった意味が見えてきました。

私たちが疑いもしない「当たり前」の押し付け。
そして、自分たちの枠から外れた者に対する「異物感」への拒絶。

常識や、持ってて当たり前、なくて当たり前という「生物的な当たり前」に対して、強烈に疑問を呈した本だったのだなと感じました。

最初に読み終えたときは意味がまったく理解できませんでしたが、改めて考えてみると、ただ一言「気味が悪い」と片付けるにはあまりにも惜しい、深い一冊でした。

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