上司への不満を募らせていた人が、いざ自分が昇進してその椅子に座ると、かつて嫌っていた上司と瓜二つの振る舞いをしている。
そんな現象に、何か名前を付けたい。
特に、部下時代に愚痴の多かった人ほど、その傾向が強い気がする。
もしかすると、文句の裏側には「あの立場が羨ましい」という気持ちが隠れていたのかもしれない。
だから自分がその地位を得た瞬間、「あの上司と同じことをしてもいい権利」を手に入れたと錯覚してしまうのではないだろうか。
結局のところ、これまでは立場が弱かったから従順に見えていただけ。
いざ力が手に入れば、あれほど嫌っていた人間性に染まっていく。
それが人間の性(さが)なのだと思わされる。
もちろん、これは過去の自分にも当てはまることだ。
今は反面教師にしたいとは思いつつも、いざ同じ環境に置かれれば、また同じ過ちを繰り返す自信さえある。
そんな自信は持ちたくないけれど、「これがこの会社の正しい振る舞いだ」と思い込んでしまえば、迷うことなく突き進んでしまう気がするのだ。
だからこそ、今の自分にできる防衛策は、自社の常識に縛られず、世の中の仕組みや広い意味での「流れ」を知ることだと思う。
そうすれば、「この会社では正解でも、一歩外に出れば不正解」というパターンを客観的に捉えられるようになる。
井の中の蛙であることを、第三者の視点で自覚できるはずだから。
転職を経験して多少は理解しているつもりだが、会社という場所は、本当に視野が狭まりやすい環境だと感じさせられる日々だ。

