関東ではここ数週間、ずっと雨が続いている。
太陽の光を浴びられないと気分が落ち込み、毎日雨に打たれ、薄暗い景色ばかりを見ていると、精神だけでなく体力まで持っていかれがちだ。
なぜ人は、太陽を見ないとここまで気分が沈むのだろうか。
その原因は、人間の脳内で分泌される「セロトニン(通称:幸せホルモン)」にある。
セロトニンは、網膜から太陽の光を感じ取ることで生成される。
つまり、日照時間が減ると物理的に幸せホルモンが不足し、「季節性感情障害(いわゆる冬季うつ)」を引き起こしやすくなるのだ。
この「日照時間とメンタルの関係」を如実に表している国がある。
バルト三国のひとつ、リトアニアだ。
リトアニアは春と秋が短く、長く厳しい冬が続くため、日照時間が極端に短いことで知られている。
その環境は、国民の精神衛生に暗い影を落としている。
WHO(世界保健機関)の2019年のデータによると、10万人あたりの自殺者数は、日本が12.2人であるのに対し、リトアニアは26.1人と倍以上の数字が出ている。
国ごとの事情は様々だが、「太陽光を浴びられない環境」が人間の心に与える影響の大きさが、こうしたデータからも垣間見える。
では、太陽が出ない雨の日はどうすればいいのか。
私が実践している、あるいは科学的にも効果的だと言われている対策は以下の通りだ。
窓を開けて、極力「外の光」を取り入れる
「雨の日に光なんてあるの?」と思うかもしれないが、実は一般的な室内の照明が約500ルクス(明るさの単位)なのに対し、雨の日の屋外でも約5,000ルクスある。
つまり、雨天であっても外の光は室内の10倍も明るいのだ。
窓際で過ごすだけでも、セロトニンの分泌には十分効果がある。
昼休みにあえて外を散歩する
室内での拘束時間が長い仕事をしている場合、少しでも外の空気を吸い、網膜に自然光を入れることが重要になる。
たとえ傘をさしてでも、昼休みに外を歩くことは理にかなったメンタルケアだ。
食事で「セロトニンの材料」を補給する
光が足りないなら、栄養で補うのも一つの手だ。
セロトニンの材料となる必須アミノ酸「トリプトファン」を多く含む食材。
バナナ、牛乳やチーズなどの乳製品、納豆や豆腐などの大豆製品を意識して摂るようにすると、心の安定に繋がりやすい。
今回、気温が下がって猛暑より過ごしやすくなったのは嬉しい。
だが、その結果として太陽光をまったく見られなくなるのは、悲しい。
カラッとしていて暑すぎず、過ごしやすい気候というものも、
これからの時代は、贅沢なものになっていくのかもしれないと考えると末恐ろしい。

