心理療法士で『ソーシャルネットワーキングの精神力動』の著者であるアーロン・バリック博士は、著書の中でこう述べている。
SNSは、自分のイメージを固定してしまう危険がある。SNS上で構築した自分のイメージを崩さないために、『続けるかやめるか』の決断が鈍ることもある
SNSで一度「理想の自分のイメージ」を作り上げてしまうと、そのキャラクターを崩すことが難しくなるということだ。
例えば、「私にはラブラブな恋人がいて、毎日幸せだ」といった内容を投稿していると、現実ではその恋人と上手くいかなくなった場合でも、周囲のイメージに応えようとして無理に関係を長続きさせようとしてしまう。
SNS上で好意的に見られているほど、他者の反応が足かせとなり、現実の自分との乖離に苦しむことになる。
SNSを大胆に利用する。
私はこの心理的なメカニズムを、逆の形で利用している。
それは、あえて「自分の目を背けたい現実(弱さや失敗)」を文字に書き起こし、SNS(ブログ)で公開することだ。
私の記事は、今も昔も「散々な出来事」をメインに書くようにしている。
その理由は、「逃げ癖のある自分に現実を見せるため」だ。
この方法は、エニアグラムにおける「ガッツセンター(タイプ8・9・1)」の人たちにこそ、特におすすめしたいライフハックである。
ガッツセンターは、無意識に現実に対する「抵抗(怒り)」を持ちやすい。
弱さを見せることを嫌がったり(8)、不都合な現実から目を逸らして事なかれ主義に陥ったり(9)、自分の理想や正しさから外れた事実を認められなかったり(1)するからだ。
では、なぜあえてネットという公開の場で自分を追い込む必要があるのか。
それには2つの明確な理由がある。
隠れた「プライド」や「コンプレックス」を客観視できる
文章にすることで、良い意味でも悪い意味でも「自分」を冷静に見つめ直すことができる。
その時は自信満々で書いたつもりでも、少し時間を置いて読み返してみると、そこには強い「コンプレックス」や「虚勢」、あるいは「変なプライド」が隠れていることに気づく。
時間を置くことで、書いた内容は「今の自分」ではなく「過去の自分」という切り離された対象物になる。
内面を深掘りして自省するのがやや苦手なガッツセンターにとって、自分の思考を物理的な記録にすることは、「自分にはこういう弱さや頑固さがあるな」と冷静に再確認するための最適なツールになるのだ。
感情を整理し、早く先に進める
私は「発達障害(ADHD・ASD)確定までの流れまとめ。IQテストから精神科受診まで」といった記事を公開した。

この渦中にいるときの自分は、滅茶苦茶に感情が乱れていた。
なんでこんなにも劣っているんだろう。
なんでこんな恥ずかしいことを書かないといけないのだろう。
そんな葛藤を抱えながら記事をまとめた。
でも、いざ書き上げてみると、その渦巻いていた感情の大部分はスッと落ち着いた。
文章を書くことで、感情の整理につながったのだ。
ここで重要なのは、これを「わざわざネットの海に上げる(公開する)」ことに強い意味がある点だ。
自分にしか見えない日記帳に書いただけなら、私は絶対に自分に不都合な事実を隠すし、二度とそのページを見返さないだろう。
ガッツセンターの「見たくないものは無視する」という防衛機制が働いてしまうからだ。
しかし、ネットに上げるとなれば他人に読まれる。
他人に読まれる前提であれば、ある程度筋の通った文章に書き直さなければならず、公開前に添削するために嫌でも何度も自分の現実を読み返すことになる。
「SNSのイメージ固定化」の作用を逆手に取り、自分の弱さや現実を言語化して固定してしまうのだ。 その結果、自分の現状の整理が強制的につき、結果的に腹が据わって早く先に進めるようになる。
おわりに
今回は、本を読んでいて気になる記述があったので、それをメインにしながらSNSの活用のメリットについて考えてみた。
現実に対する抵抗感や怒りを腹に抱え込みやすく、不都合な自分から目を背けがちなガッツセンターの人こそ、ぜひ「見たくない現実の言語化と公開」を試してみてほしい。

