退職最後の週。
休みを利用して、菓子折りを買いに行った。
退職時に「お世話になりました」と挨拶をしながら、配って回るあれだ。
正直に言う。
あの風習、これほど消えてほしいと思ったことはない。
もちろん心から感謝を伝えたい人もいるが、嫌な人もいる。
そういう相手にも、「お世話になりました」と頭を下げなければならないのが、嫌なのだ。
とはいえ、そんなことを言ったところで、結局は仏頂面で「オセワニナリマシタ」巡りをする自分の姿が見えている。
今の会社に勤めて6年。
思えば、最初は行っていた創作活動やゲームなどの趣味は、気が付くと全て過去のものになっていた。
ここ数年の休みの記憶と言えば、ただ動画を観続けること。
今までの私は、日々の業務とストレスをこなすだけで精一杯で、「思考」することが出来なくなっていたのだと思う。
しかし、会社を去ることが決まった今、変化が起きた。
「創作意欲」が湧き上がってきたのだ。
会社の環境や人間関係に気を揉むことが少なくなり、自分の未来に目が向いたおかげだろうか。
自分のやりたいことや、失っていた昔の思考回路に少し戻れた気がする。
ここ最近は、想像する物語が次から次へと頭に浮かび、それを下書きに残すことが出来るようになっている。
久しぶりに「昔の自分」と会合した気分になって、嬉しい。
退職まで、あと数日。
心にもない「お世話になりました」を配り終えた先には、自分の本当の言葉だけを紡ぐ日々が待っている。
それまでもう少しだけ、頑張ろう。

