「自分の家庭、なんだか周囲とズレているかも?」 私がそう気が付いたのは中学生の頃だった。
私自身もおそらくアダルトチルドレン(AC)の気質があるんだろう、という感覚がある。
そしてなぜか、私と親しくなる人も同じくAC気質の人が多い。
今回は、そういう人たちと話していく中で私が感じた「危機感」と、そこから抜け出すためのステップについて書いていく。
見えない「認知のゆがみ」という危機
前提として、ACは「認知のゆがみ」が他よりもかなり強い。
見かけ上は普通に生活しているんだけれど、その実、内面での世界のとらえ方は一般とはかけ離れてしまっていることが多い。
しかも、場合によってはその事実に一生見ないようにして生きている。
ここで、マーティン・セリグマンによる1960年代の犬の実験(学習性無力感)の話をしたい。
犬を3つのグループに分け、それぞれ異なる条件を与えた。
- ショックを自分で回避できるグループ
- 何をしてもショックを回避できないグループ
- 何も受けないグループ
その後、すべての犬を「低い仕切りを飛び越えればショックを避けられる環境」に移して動きを見た。すると、①と③の犬は自分で逃げようとしたが、②の犬だけは、逃げられる状況になっても何もせずショックを受け続けたのだ。
動物に「努力しても状況が変わらない経験」を繰り返し与えると、後に回避可能な状況でも行動を起こさなくなる。
これが人間の幼少期の経験にも当てはまる。
ACが大人になっても生きにくいと感じる根本的な原因は、この「学習性無力感」だと私は感じている。
脱却には「自分が変わる努力」が不可欠
厳しい事実だが、ACを克服するためには、自分が変わる努力をしなければならない。
なぜなら、自発的に変わろうとしていない状態で、たまたま「学習性無力感」とは違う良い結果(成功体験)が得られたとしても、それを「ただの偶然だ」「気が付かなかった」と処理してしまい、折角の経験が全く意味をなさないからだ。
だから第一歩として、「今ある自分の考えは、世間一般の考え方ではない可能性がある」ということを知ってほしい。
それだけでも、解決への大きな一歩を踏み出している。
認知のズレを可視化する「壁打ち」の方法
ここからは、自分の「ズレ」を可視化させる具体的な方法を、無料と有料のパターンで一つずつ紹介する。
どちらのパターンも、目的は「自分の薄暗い考えを外の人にぶつけてみること」だ。
認知のゆがみが自分自身にある以上、一人でいくら考えても結果は暗いものになりがちだからだ。
① 無料のパターン:さりげなく人に聞く
「自分は幸せになってはいけない」という考えが自分にあるなら、育ちのよさそうな人に「今って幸せ?」と、さりげな~~~く聞いてみる。(コミュ力とタイミングが超絶大切)。
または、YouTubeでまだ芽は出ていないけれど自己肯定感は高そうな人に、「動画やってて楽しいですか?」とコメントしてみる。
主題はあくまで動画内容に沿わせつつ、自分が聞きたいことをうっすら混ぜるのがコツだ。
ただ、正直これは敷居が高すぎる。
参考になる回答が来ないことも多いし、一歩間違えると変人扱いされる。
私の場合は「もう二度と会わないだろうな~」という相手に試すことがあった。
② 有料のパターン:安価なカウンセリング
「無料の方法なんて無理だろ!!」となるのが普通なので、現実的には安価なカウンセリングをお勧めする。
ただし注意点がある。このカウンセリングに、効果の有無は期待しないこと。
私自身、数ヶ月カウンセリングを受けたが、正直自分の根本的な解決にはならなかった。
ここで重要なのは、カウンセラーに「私はこう思うことがあるんですが、あなたはどう思いますか?」と問いかけ、壁打ち相手になってもらうことだ。
なぜプロに効果(解決)を求めてはいけないのか。
それはAC、特に愛着障害の回避型は、基本的に自分の本心に蓋をしてしまっているからだ。
少なくとも私はそうだった。
だから悩みを話せを言われても、自分しか分からない。見たくない物を、赤の他人に見せられる訳はないのだ。
だから、会話中はあくまで相手を「壁打ち」として使い、一人になってからその会話を思い返し、自分の感情を深く掘り出すという使い方が一番いいと思っている。
壁打ち相手の意見を聞いて、「そういう意見もあるのか」という気づきを得ることが目的なのだ。
傷を膿ませないための消毒として
正直、ここまで読んでくれた時点で、AC脱却の一歩は確実に踏めていると思う。
ただ、どんなに努力しても、幼少期のキズが一生消えることはないだろう。
しかし、痕は残っても塞ぐ事はできる。
そのキズを見ないふりして生活すると、傷は膿んでさらに悪化してしまう。そのための消毒として、ACはそのまま放置してはいけないと強く思う。
服の下に隠れた傷は、自分にしか見えないし、自分にしか処置できない。
向き合うのは痛みも伴うし不快にもなるけれど、絶対に後悔はしないと思う。
だからこそ、私が実体験して良さそうだった「壁打ち」という方法を、ここに残しておきたい。
ここまで読んでくれてありがとうございました。

