永松茂久さん著の2019年出版「30代を無駄に生きるな」を読んだ。
結論から言うと、参考になる部分もあったが、根本的な思考回路が自分とはかなり違うと感じた一冊だった。
ターゲット層と本書の空気感
この本を手に取ったきっかけは、自分が30歳を迎えたことだ。
この年代についてどのような考え方があるのかを知りたくなった。
本の冒頭には「30代は吸収の時期なので、本気で取り組めば未来が変わる。しかし、甘い気持ちで読むのはおすすめしない」という前置きがある。読み進めていくと、想定されている読者はこんな人物だと感じた。
- 出世志向が強い野心家
- 感情より成果を優先できる
- 勝ち負けをモチベーションにできる
- 守る家族や責任がある
つまり、30代のビジネス志向の男性がメインターゲットなのだろう。
白ベースに黒と青の文字という、いかにもコーポレートカラーな表紙デザインからも「なるほどな」と妙に納得した。
「人生」と「人間関係」に対する価値観のズレ
本全体は「自分の30代はこうしてうまくいった」という著者の経験則で構成されている。
そのため、著者と似た気質の人にはかなり参考になるはずだが、性格が違う私は読みながら困惑する場面も多かった。
例えば、「運命は自分でつかみにいくもの」という考え方。
私の感覚では、人生には最初からある程度の流れがあり、その中でAルート、Bルート、Cルートといった選択肢が分岐しているイメージに近い。
だからこそ、著者のアグレッシブな姿勢には「それは少し違うのでは?」と立ち止まることが何度かあった。
また、人間関係における「他者に与えれば、結果的に自分にも返ってくる」という考え方にもあまり賛同できなかった。
著者のように、「自分」が主であり、その延長に他者がいるという合理的な思考の持ち主なら機能するだろう。しかし、「人があってこその自分」と感じるタイプの人がこの方法を真似ると、おそらく激しく消耗してしまう危険な考え方だと思う。
加えて、2019年出版という時代のズレも大きい。
著者が30代を過ごした時代と、令和の30代を取り巻く社会情勢とでは条件が違い、少し無鉄砲な行動論に思える部分もあった。
ハウツー本ではなく「人生戦略の言語化」として読む
もう一つ気になったのは、
「世間の人はこうだが、この本を読んでいる君は違う」
と読者を鼓舞し、気持ちよくさせるような言い回しが多かったことだ。
途中で少し引っかかる瞬間もあった。
ただ、最後の「あとがき」を読むと印象は少し変わる。
著者自身が、そうした「媚びのような表現」を自覚的に使っている可能性を示唆していたからだ。
もしそうだとすれば、この本は一般的なハウツー本としてではなく、「著者の人生戦略を言語化した本」として読むほうが面白い。
「この人はどうやって人生を切り開いてきたのか」という視点を持ち、自分とは全く違う思考回路を持つ人間の頭の中を覗くという意味では、読んでみて非常に興味深い一冊だった。
超蛇足:勝手にエニアグラム予想
これは完全な個人的考察だが、本を読んでいる限り、著者はエニアグラムのタイプ3(達成する人)っぽい気がした。こっそり書き残しておく。

