嫌気がさす一日だった。
「私の金を何だと思っているんだ」という怒りが、腹の底からフツフツと湧き上がってくる。
商売である以上、相手が利益を追求するのは当然の理屈だし、ビジネスそのものを否定するつもりはない。
だが、こちらが寄せた純粋な「信頼」や「友情」を都合よく利用し、それを金に換えようとする浅ましい魂胆が透けて見えた瞬間、強烈な気持ち悪さが襲ってきた。
後にそれは、裏切られたというショックや、深い悲しみだったのだと気づくのだけれど。
しかし、今回何よりも嫌だったのは、相手の悪意そのもの以上に、自分自身の「馬鹿さ」と「心の弱さ」だ。
相手を信じ込んでいた心の隙間を突かれ、ほんの一瞬でも
「真実なのではないか」「流されてしまおうか」と騙されかけた自分。
「関係を壊したくない」「この繋がりを維持したい」という執着から、相手の提案に乗っかりそうになってしまった自分。
私は、「信頼」や「友情」という言葉をチラつかされると、呆気なく心が揺らいでしまう。
「本当なのではないか」と信じたくなるような甘い夢言葉に流されそうになる、その無防備で浅はかな自分の弱さを、まざまざと突きつけられたのがたまらなく嫌だったのだ。
騙そうとしてきた相手の卑しさには当然激怒している。
だがそれ以上に、他人に流され、自分を安売りして関係を守ろうとした己の不甲斐なさに、ただただ反吐が出る思いだった。
結局のところ、土壇場で自分を守ってくれるのは、他者への期待ではなく「己の冷徹な直感」だけなのだ。
苦い勉強代だったと思って、二度と自分の聖域を踏み荒らさせないための糧にするしかない。

