私はPCを使ってデザイナーをしている。
仕事の内容も、クリエイティブものが中心だ。
そんな中、うちの会社でイラスト担当をしていた社員が抜け、イラストデザインを専任で担う人がいなくなった。
それを見た課長は、こう言い放った。
「居なくなっても困ることはない。AIにイラストを作らせれば指示も的確に理解してくれるし、むしろAIの方が良い。これからはAIを使ってデザインしていく者しか残らない」
これを、社内に当たり前の常識として、声高に話している。
危機感と、納得が同時に来た
この発言を聞いて、私はものすごい危機感を覚えた。
他者の心を動かすことが仕事のはずなのに、人の模倣でしかないAIにあまりにも依存的な考え方をしていて、それを「当たり前」として伝えているからだ。
でも同時に、その言葉に納得もできてしまった。
これからの時代は、AIをどれだけ上手くデザインに反映させられるかによって、作業時間もクオリティも一定のラインまで上げられる。
実際、あるクライアントからは「AIに頼めばすぐ作ってもらえるのに」と言われながらデザインを依頼されたこともあった。
聞かれたことを自分で調べてまとめて返信したら、「AIに聞いたのね」と言われたこともあった。
これらは言われる度に凹むし、正直、自力で行う気力がなくなる。
でもこれは社内だけの話ではなく、クリエイティブ業全体がそれだけ身近で手軽なものになった、ということの証拠なんだと思う。
「AIに頼る」と「AIに投げる」の境界線
ただ、AIに頼りすぎている今の現状は、私から見ると、仕事をただAIに丸投げして、それを「自分がやった仕事」だと思い込んでいるのと変わらない。
そしてこれを考えたと同時に、自分自身も思った以上にAIに頼っていることに気がついてしまった。
うちの会社では、AIを使って仕事をこなせる人ほど、一定の仕事量をこなせるという理由で、仕事量がどんどん増やされている感覚がある。
そして仕事が増えた社員は、さらにAIに頼って仕事をこなしていく。
結果として、AIを使えない社員は「負債」に変わっていく。
これ、結構まずい状況だと思うのは、私だけだろうか。
遅かれ早かれ、社員は半数以上が不要になる
クリエイティブ業は基本的に、人々の発想や思いを形にしていく仕事のはずだ。
しかしそれを投げやりにして、思考をAIに投げ続けることが「良し」とされ続ければ、人として大切な部分すら失われていくと感じる。
ここ数年で事務職はなくなっていくと言われているが、PCに従事する仕事の多くは、上の立場の人間がAIに傾倒すれば、あっという間に取って代わられていくと思う。
何年経っても能力を上げ続ける気概か、ある程度確立された立場・権威がなければ、会社に勤め続けること自体が厳しくなっていくのだろうと感じている。
だからこそ、今一度、自分が行っている仕事の立ち位置について考えてみてほしい。
私は今の自分のスキルでは、この先クリエイティブ業として生き残るのは難しいと感じている。
AIは今の時点でもかなり身近な存在だが、今後はさらに「あって当たり前」のものへと進化していくだろう。
AIが普及し始めてからたった数年で、ここまで仕事に影響が出るとは、正直全く考えていなかった。
本当に怖いのは、AIの性能じゃない
私が怖いと感じたのは、AIの性能そのものではない。
人が「考えること」をやめてしまう空気が、会社の中で当たり前になりつつあることだ。
クリエイティブとは、正解を探す仕事ではなく、まだ形になっていないものを生み出す仕事のはずだ。
その思考の部分までAIに預けるようになれば、仕事という枠組みは残っても、クリエイターとしての価値は失われていくのではないか。
そう思っている。

